【2007/10/27(土)】大阪ハインリッヒ・シュッツ室内合唱団定期演奏会【第17回現代音楽シリーズ】『〜宮沢賢治の世界 その二〜』@いずみホール

体調が絶不調で椅子に座っていることもシンドイ状態で、行くのやめようかなあー、と思ったりもしたのですが、安くないチケットを無駄にすることも出来ず(過去何回も無駄にしてますけど…買っておいて行かない方式orz)フラフラしながらいずみホールへ。ちなみに人に感染するようなタイプの病状ではありませんので、人様に迷惑をかける心配は無し。

この日は前週?の京都アルティに引き続き宮沢賢治特集の二回目です。公演の前半は異なる作曲者の曲を常田富士男さんの朗読でつないでいく趣向。お馴染みの曲ばかりですが、「永訣の朝」は過剰なほどのセンチメントに溢れた鈴木憲夫のものではなく、西村朗のほうを演奏していたのが良かった。この曲は西村作品では、わけわからん系じゃなくて、まともで美しい系です。

今回の目的は、初演で聴いた木下牧子「原体剣舞連」の改訂版だったのですが、初演時よりも全体の流れは分かりやすくなったように感じました。ただ、演奏者の問題だと思うんですが、ちょっと緩んだような、流して歌った、という感が残りました。まあ、楽譜が間に合うかどうか綱渡りで、本番でも歌い直しをした初演みたいな緊張感を出せってのは難しいんでしょうけど、もう少しこの曲の場面がフラッシュバックするようなリズムの切迫感が欲しかったかも。同じテーマの別アプローチ、千原英喜「種山ヶ原の夜の歌」は、木下版の昇華されたファンタジーとは違って、太鼓など打楽器を使った面白い曲で、これもなかなかいいなあと思いました。この日は作曲のお二人とも来場されてましたが、木下さんはご自身のblogで締め切りラッシュで大変!というようなことを書いておられたので、まさか大阪まで来られるとは思わず姿をお見かけしてちょっとびっくり。

さて、アンコールは千原英喜版「雨ニモ負ケズ」から終曲「雨ニモ負ケズ」が演奏されましたが、あらーこんなに分かりやすい綺麗な曲も書くんですねー、と意外な感じがしました。これは今後取り上げる合唱団が多そうな気がする。

あと、物販コーナーでは、いつものようにCDやMDが売られていましたが、在庫限りとなった「祈祷天頌」や「方舟」を収録したCDがあったので買いました。家で聴いてみたら「方舟」はシュッツらしからぬ音の精度の部分も散見されますが、終曲の出だしの演奏解釈などはさすがです。若さの絶叫ばかりが目に付く演奏が多いところを、まるで地上から空に落下するような導入にするなんて素晴らしい。この部分はいいなあ、気に入りました。

ということで、いい加減死ぬんじゃないか、というくらいのシンドさの中なんとか家に帰りつきました。(翌日にはなんとか回復)

千原英喜/文語詩稿<祭日>混声合唱とチェロ、ピアノ、パーカッションのために(世界初演
林  光/「海だべがど」(「高原」合唱版)
林  光/「星めぐりの歌」(バイオリンオブリガート付)
林  光/「冬と銀河ステーション」
林  光/「鳥のように栗鼠のように」
林  光/「祈り」(「烏の北斗七星」より)
林  光/「ポラーノの広場のうた」
西村 朗/同声(女声または男声)三部合唱とピアノのための組曲「永訣の朝」
木下牧子混声合唱管弦楽のための「原体剣舞連」改訂版
千原英喜/「種山ヶ原の夜の歌 ―異伝・原体剣舞連」(世界初演


アンコール 「雨ニモ負ケズ