【2008年11月09日(日)】ラトビアの彗星 Vocal Group COSMOS@宝塚ベガホール

maru20042008-11-09


神戸公演に引き続き、宝塚ベガホール公演です。
神戸公演と違いキャパが300席ちょいと少な目のためか前売り1500円(これも破格の安さ!)は早々に完売。自由席だったので18:30の開場の20分くらい前に行ったものの、既に100名近い列が… orz。寒〜い吹きさらしの中で開場を待ちました。開場したらダッシュでセンターブロックの座席を探して前方の方を確保!この日は寒さのせいか頭が痛くて、たまらず会場最寄の清荒神駅前の薬屋で頭痛薬を買ったんですが、席を確保してからロビーでちょっと食べて薬を飲みました。幸い開演するころには薬も効いて復活!!

このベガホール公演ではホールがクラシック専用ということもあり、なんとマイクを使用しない公演!でした。
最初に司会者からラトビアやcosmosの紹介があって、彼らが登場。んで、一体何を歌ったと思います?合唱ではお馴染みの曲ですが、なんとJohn Tavenerの「The Lamb」です。
メロディが聴こえた瞬間、ええー!?とビックリしました。

■演奏曲目 ※順不同
 John Tavener / The Lamb
 Pēteris Vasks / Window (Three poems by Czeslaw Milosz)
 Tomas Luis de Victoria / 曲名不明
 Vienreiz      ←(※2008/11/14追加 mahiro様、多謝です。)
 Trejdeviņi slepens(たくさんの秘密)
 Vindo
 Can't take my eyes off you
 Tu kā, es kā(あなたは…)
 River of dreams
 ※こちらも記憶曖昧のため漏れがあるかも、です。


しかもこれが半端なく上手いことにビックリ。タヴナーは現代の作曲家で今でも活躍中ですが、このThe Lambは美しく、そして技術的にも高度な楽曲。日本でも合唱団が取り上げることが多いのですが正しい音でちゃんと歌えていることは少ないのに、彼らはブレなく歌っていました。これはリズムパート以外のメンバー5声で、続いて歌ったWindowは4声。これはラトビアの作曲家http://en.wikipedia.org/wiki/Peteris_Vasks:TITLE=Pēteris Vasksの作品で、cosmosのhttp://www.cosmosmusic.lv/:TITLE=公式サイトで視聴可能です。
([music]→[recordings]→[Academic music]の中にあります)
宗教曲は現代の曲2曲とルネサンスの作曲家トマス・ルイス・デ・ビクトリアを1曲でしたがベガホールに響き渡る美しい合唱に感動しました。

マイクが使用できないのでイコライザーが必要だったり、リズムパートの効果が出難い楽曲は演奏できなかったようですが、彼らのオリジナル楽曲も何曲か演奏されました。その中でのハイライトは何と言っても「Vindo」です。本来はマイクを使用して歌っている曲ですが、コンサートホールの特性を生かして、メンバーは舞台上で横や背面の壁に声をぶつけて演奏していました。これが生声なのに凄まじい響きと音圧!ビリビリと会場内を共鳴する様は、ある意味神戸公演以上の演奏でした。彼らはこの曲を民族音楽的な発声で歌うのですが、無理に喉で出している訳ではなくて、息が自然に流れていて本当に素晴らしかったです。
「Tu kā, es kā」は楽器や手拍子を入れると歌が聴こえなくなってしまうので、さすがに会場と一緒には歌えませんでしたが、こちらもいい感じ。あと、まさか歌うとは思っておらず驚いたのが「君の瞳に恋してる(Can't take my eyes off you)」、マイク無しのHuman beat boxってどんなもんだろう?と思ったのですが、幸い前方の座席だったので息づかいも聴こえて楽しめました。(後列の座席だったら分からなかったかも?)前半はおよそ30分ほどで終了。

休憩を挟んで関西学院グリークラブの演奏。
■演奏曲目 指揮:廣瀬康夫
 Tomas Luis de Victoria / Tenebrae factae sunt (暗闇となりぬ)
 Kodály Zoltán / Felszállott a páva (孔雀は飛んだ)
 上を向いて歩こう
 Deep River (黒人霊歌)
 Ride The Chariot (黒人霊歌)
 Tom Gentry / Sound Celebration (バーバーショップ)

1曲目はコンクール課題曲だったので選曲に入れたのだと思いますが、男声合唱のメジャーどころを選曲しています。が、演奏が始まった瞬間に「cosmosの方が声出てたし響いてたなあー」と思ってしまいました(人数は合唱団は30名くらいいるのに)。同じホールなのにこうも音が違うのは残酷なほどです。学生だしこんなもんかなあー?という感じもしますが、拍の感じ方というかリズム感の無さだけには閉口。最後に歌ったバーバーショップの曲などが一番分かりやすいのですが、これを愚鈍な4ビートで歌われるのは凄まじい苦行でした。1,2,3,4,1,2,3,4ってな具合のビート感で歌詞が細かくなるところでは遅れるっつうのは、指揮者なり合唱団関係者がもう少し考えてあげて欲しいです。
ということで、最低でもこれぐらいは歌おうよ!というサンプル↓はこちら

んで、ここで再びcosmosが歌って終わるのかなあ?と待ってたら予想外の展開。このコンサートのチラシにも「百万本の薔薇をたずさえて初来日!」(神戸公演では来日は2回目と言ってたけど…)とか書いてますが、彼らもカバーしているラトビアの楽曲「百万本のバラ」を加藤登紀子よりも前にリリースしていたという小田陽子さんが登場。原曲となった「マーラが与えた人生」を何故か会場と一緒に歌うことに… orz
うーん別にいいんだけど、歌詞がなんというかあまり救いがないような感じで、それを念仏のように会場内の人々が歌う様はシュールでした。
舞台上では関学グリーが真面目に歌っていて、小田陽子さんはとても歌を愛しているのだろうけど、若干時代がズレたような歌唱。この原曲では、女性とその娘が出てくるんですが、3番の歌詞では「その娘が口ずさんでいる」という体で、小さな子供が歌うような声で歌っていましたが、これがさらに不気味というか、オーメンかよ!?とちょっと思ってしまった。

さて、微妙な雰囲気の後でコスモスが再登場!
次は何を歌ってくれるかなあ?と思ったら1曲歌って終了!?!?!?
ええー!!嘘でしょう?
と思ってたら、花束贈呈が行われてホントに終演… orz
ちょっと事情は分かりませんが、ただただ残念でした。うーん、これって最初は「百万本のバラ」をcosmosも歌うとか何か予定があったんでしょうかね?

ショックを受けながらも、この日は終演後にサインをして貰えるとのことでしたのでロビーへGO!
ちなみに、この公演では物販があって、最新アルバムを含む3枚が売られていました。価格は2000円と超良心的。よくあるサインセールとは違って、ファンのため終演後ロビーに出てきてくれただけだったのですがサインや写真撮影にも応じてくれて、私もCDにサインを貰って、全員ではありませんが一緒に写真も撮ってもらえたので大満足。

Pa un Par (On And About)』2005年発売

『Ticu un viss』2005年発売のクリスマス曲集

『Turbulence』2008年発売

この公演は、主催が在大阪ラトビア名誉領事館、共催が日本ラトビア西友好協会、後援は宝塚市の複数の文化財団や団体だったため、司会者が宝塚市議、休憩前にはわざわざ時間を取って宝塚市長、宝塚市議、衆議院議員、各団体の来賓を紅白歌合戦の審査員さながら紹介したり、花束贈呈も美しい着物の奥様方ということで、どことなく自治体の公式行事のような雰囲気でした。ちょっと居心地の悪さもあったけれど、やはり安価な入場料で素晴らしい音楽を楽しめる機会はありがたいことです。cosmosメンバーは、来日して神戸市の歓迎イベント、コンサート、領事館の歓迎イベント、コンサートという感じの強行軍で大変だったと思いますが、是非とも再来日して欲しいです。そして次回は出来れば、アカペラや合唱をやってる若い世代にも聴く機会が増えるといいなあ。
いやー良い週末でした!