【2007/02/12(月・祝)】関西室内楽協会30周年記念演奏会 J.S.バッハ「マタイ受難曲」@いずみホール

maru20042007-02-12

指揮:本山秀毅
ソプラノ:松田昌恵/アルト:福原寿美枝/テノール・福音史家:畑 儀文
バス・イエス:小玉 晃/バス:萩原寛
出演:大阪チェンバーオーケストラ
合唱:京都バッハ合唱団・岸和田少年少女合唱団
2007年2月12日(月)開演16:00 (座席引換え開始14:30 / 開場15:00)
いずみホール

出演者が豪華だったこともあったのか、ネットでの予約は2月1日に締め切られたようで、満席の公演。座席券交換の開始15分前に行ってみたら既に50名ほどの列が出来ていました。当日券は動員具合を見ながらという感じでしたが、こちらも結構な人数が並んでいましたよ。
まず好感が持てたのが、主催者スタッフ2名がちゃんと案内しており、並ぶお客さんの誘導もしっかりされていたこと、そして座席がリクエスト可能だったことです。アマの演奏会だと大体この辺がグダグダで、せっかく早く並んでも悪い座席だったり、誘導も無く混乱したり、演奏を聴く前から不愉快な気持になるのですが、これは素晴らしいですね。

さて演奏は、一般的な二部構成で16時開演で20分の休憩を挟んで、カーテンコールが全部終わった時点で19時30分でした。正直聴きに行く前はシンドイかなあ?と思っていたのですが、非常に素晴らしい演奏でした。やはり福音史家の畑さんは圧巻でしたし、アルトの福原さんは相変わらず深い声が美しい。あと、聴く前はイエス役の小玉さんは、どうなんだろうと思っていたのですが、私の先入観が間違ってました、すごく良かった。もうね、合唱についても歌唱に関するストレスが皆無でしたよ。演奏の始めからただただ美しかった。まあ京都バッハ合唱団のメンバーさんは関西地区でご活躍のソリストや指揮者の方もおられますし、真摯な歌唱が胸を打ちました。一部だけ出演した岸和田少年少女合唱団の皆さんも良かったなあ。指揮者の本山先生は演奏後に虚脱状態という感じで全エネルギーを注いだような感じでしたが、本当に素晴らしい熱演!

会場の雰囲気ですが、いわゆる身内客が多かったわりには静かで集中していました。二部の山場のペテロの後悔のくだりからイエスが十字架にかけられる辺りでは泣いているお客さんもいましたし、関係者ブラボーも二回目のカーテンコール以降のわきまえられたタイミングで行われたのが好印象。本当に良い雰囲気だった。まあ、マタイが3時間超の公演だと知らずに来たお客さんは第59曲ぐらいから疲れてきたのか、若干場内の空気がダレた印象はあったのと、演奏後に微妙なフライング気味で拍手が起こったのは惜しいですが、それは些細なことですね。あと、訳詞は舞台上手下手に字幕スーパーが出ていましたが、配布された対訳を読みながら聴く人が多くてページをめくる音がバサッと聞こえたのは各人で注意して欲しかったかなあ…。

ほんとにあっという間の3時間で楽しい時間でした。

〔追記〕2007/02/16
その後、ふとした時に気付けば、頭の中でマタイのメロディーが鳴っています。
上の感想は帰ってきた直後に書いたので、ただ良かった!という感想になってますが、冷静にふり返ってみると、やはり指揮者の本山先生らしいドイツ的なアプローチが光っていたのではないでしょうか。それは、最近流行りの古楽の演奏の「軽さ」と比較して「重厚的」だと言うように、単純に音楽スタイルの好みで語るようなものではありません。
この日の演奏は、全編に真摯な精神性が漂うようなもので、合唱団員のソリストを含め、各人がマタイの世界観を理解し敬意をはらっているように感じさせながらストイック過ぎることはなく、ドラマティックさとのバランスも取れたものでした。
いやー、素晴らしかったんですよー