【2008年09月28日(日)】『Vitoi 1st Concert』@大阪フィルハーモニー会館 メインホール

maru20042008-09-28


ずっと演奏を聴きたいと思っていたVocal Ensemble「ヴィトワ -Vitoi- 」のコンサート。
それなのに前夜というか明け方まで飲んでいたため家でチンタラしてしまい、会場到着は間もなく開演というタイミング。ああー危なかったーギリギリセーフでした。
会場は地下鉄四つ橋線岸里にある大フィル会館で、ここの練習室は昔使ったことがあるんですがホールに入るのは初めてで予想外の広さにビックリ。基本は天井の高いバスケットコートみたいなオケの練習場に傾斜状の客席がついてる感じですが、お客さんは200名以上入っていたんじゃないでしょうか、すごい集客力です。パーティションで舞台スペースが区切られた会場には5脚のイスがセットされ、譜面台はありません。ということは全部暗譜?などと想像しながら期待が高まります。なんかフェニックスホールあたりで開演を待つような感じがしました。

さて演奏は前半7曲、15分の休憩を挟んで後半6曲、アンコールが2曲でした。
セットリストは以下の通り
1.Down to the River to Pray
2.Star of the County Down
3.Too much I once lamented
4.It's Only Paper Moon
5.My Foolosh Heart
6.The Water is Wide
7.Och jungfrun hon går i ringen [Hugo Alfvén]
 (休憩15分)
8.Hyokkori Hyotan Jima! (ひょっこりひょうたん島)
9.In My Life
10.Blackbird
11.Can't Buy Me Love
12.All I ask of you
13.Ob-la-di,Ob-la-da
en 1.Lullabye (Goodnight, My Angel)
en 2.明日ハ晴レカナ、曇りカナ [武満徹]

選曲をみて分かるように The King's Singers が歌ったものが多いです。まあ、Sopのともべさんは筋金入りのKing'sファンなので当然かもしれませんが、難しいアレンジの曲が多いですし、しかも全曲暗譜でした(;°ロ°).
ここは感想を書くのが難しいなあ…、別に知ってる人だからということじゃなくて、真意が伝わるかという意味ですが、うーむ。

まず、会場の音響について、音は響くんだけど反響音の指向性がバラバラっぽいので歌うの難しいだろうなあ、と思いました。反響版で上手いこと集約されるホールとは違って、舞台になっている部分の範囲が広いので6名の声を集めるのは大変そうです。そのため、個人ごとの発声やボリュームのばらつきが気になる箇所がありました。音に関しては、そのへんの合唱団に比べたら精度は高いけれどソロを歌っている人でピッチが不安定になる箇所があったり、リズムというかカウントの感じ方に問題がある曲もありました。ミディアムテンポまでは非常に良いんだけど、他のもので異様にドン臭く聴こえたり、Blackbirdは足でカウントとってたけど、あれぐらいは歌だけで行けるでしょう?もう足のカチカチが耳障りでヽ(`Д´)ノ せっかく良い歌なのに。
The Water is Wideとかもそうなんだけど、これは練習で客観的に聴いたり、録音してプレイバックするとかあんまりやって無いのかなあ?リードが歌ってる和声に対してテンションの音が入って、その後転調するとか、この手の曲はどこが旋律で次のきっかけは誰?というのが理解できていないと変な調性で間違ったスケールの音に聴こえるんですよねー。
ただし、これらが致命的な問題かといえばそんなことはなく、素晴らしい演奏だったのです。観客に音楽を楽しんでもらいたいという感情は伝わるし、美しい音も鳴っていました。それに、全15曲まるまる暗譜で歌うための努力が出来るってのは凄いことです。あとね、パンフレットがとてもセンスが良かったです。A4二つ折りでメンバー紹介が書かれたものにプログラム(こちらはシンプルな白)が挟んであったんだけど、これはいいですねー。
ということで、Vitoiの皆さんが目指している音楽は明確に分かったし、上述の内容もおそらく既に客観的なチェックをされていると思うので、次回の演奏会も楽しみにしています。

〔追記〕2008/10/01
プログラムをみながら反芻してみました。これがオフィシャルには初めてのコンサートなんですが、一般的に「初めて」でやる選曲とはちょっと違いますよね。同じような嗜好のアンサンブルだったら前半はマドリガルとかルネサンスポリフォニー系を何曲かやって山場の曲をドカン。後半は耳馴染みの良いポピュラーを混ぜつつ、てな構成になるんだけど、ここは歌い手に厳しいですねー。男声4声とか休憩できそうなんだけど舞台上じゃあ休めない、なんてストイック!
それから「声が良いいなあ」と感じたことを思い出しました。もともとの地声が良いとかだけじゃなくて、Well-Trained っていうのかな、意識してレッスンして理性的な印象。あと、どれだったか、バリトンがリードの曲、コーラス先行で入る楽曲だと聴き手は「この音で入ってこい!」と待ってるんですが、これがピッタリですんごく気持ち良かった。ASTTBB編成って男声リードがいろいろ出来るからいいですね。(逆に女声の2ndは大変なのかな?)
最初の感想をUPした時点では、私自身がアカペラバンドを聴いてるような感覚でしたが、こうやって振り返ってみると今後Vitoiで聴いてみたい曲がいろいろあります。アカペラバンドとはちょっと違って、合唱とも違う、Vitoiだから歌える路線って魅力だなあと思いました。