【2008年10月09日(木)】バンキエーリ・シンガーズ第7回日本公演@松方ホール(神戸)

関西公演の2日目は神戸ハーバーランド神戸新聞・松方ホール。チケットは前日買っておいたので仕事をちょい早で上がって神戸へ。駅のコンビニでおにぎりを買って会場に向かったものの、早く着きすぎて会場に上がるエレベーターとエスカレーターが動いてなかった…(ここは開場30分前から稼動するのです)。
んで、自由席だから早めに行ったのに開場時間になっても開場待ちの列はそれほど伸びず50名くらい?ここは1階576席、2階130席の計706席と公演の中では大きい方なんですが、2階を使用していないにもかかわらず客足は伸びる気配なし。原因は公演情報がほとんど無かったことだと思います。ここはホールの主催公演の情報は充実しているけど、バンキエーリに関しては間違った19時開演の情報のみ。前売りがあることはもちろん当日券の有無も不明。ただ、これはホールというより公演主催者側の問題でしょうね。結局ガラガラのまま開演時間がやってきました。

■歓迎演奏
■松蔭中学・高等学校コーラス部 指揮:三井健嗣
「MISSA BREVIS」より「Kyrie」「Sanctus」「Agnus Dei」 (Nancy Telfer)
「天使と羊飼い」Angyalok Es Pasztorok (Zoltán Kodály)
■ヴェネルディ女声合唱団 指揮:松岡としみ
「MISSA BREVIS」より「Kyrie」「Sanctus」「Agnus Dei」 (Nancy Telfer)
 Ave Maria (松下耕)
■グレース コーラス 指揮:桑山博 ピアノ:島田聖子
「Birthday Madrigals」より「It was a lover and his lass」「My true love hath my heart」「When daisies pied」(John Rutter)

まずは賛助合唱団の歓迎演奏。いやーこれは神戸公演がダントツ№1でした。
松蔭は歌っているときの立ちかたがジョーの「ノーガード戦法」みたいで、やや前傾しつつ手をだらーんとたらす感じなんだけど、これってコンクールでもみるんですが大嫌い。歌は良かったけど、あんなので声出んのかなー?ヴェネルディは、直前に若い子たちが精度の高い演奏をしているのに何でわざわざ同じ曲、しかもちょっと技術的に落ちるのに演奏するんだろう。演奏はそこそこでも印象が悪い。選曲の段階で打ち合わせしてなかったのか?最後のグレースは、年齢的に音が当たらない、とかアーティキュレーションが曖昧で漫然と流れていくという問題はあれど、Rutterのこの洒落のきいたフレーズの楽しさが伝わる好演。

さて、休憩無しでバンキエーリ・シンガーズの登場。舞台に立って会場を見回した瞬間に「あーあ、全然入ってないなあ」という表情。彼らの失望を考えたらこちらも残念な気持ちになります。
前半は前日同様ルネッサンスものから入りますが3曲歌ったところで「Madrigal comedy」の演奏になってしまいました。これは賛助団体が3つで前日よりも押しで始まったので仕方ないのですが、あっと言う間に前半が終了してしまいました。
この日は客層が60歳代以上の方が中心で、おそらくクラシック公演などにはあまり行っておらず、賛助団体の出演者から貰った(買った)ような人が多かったためか演奏中のノイズが多かったです。チラシのガサガサ音や演奏中にボソボソ喋ったりとガッカリ。
そして休憩時間になっても客は増える気配もなく後半へ。物販は前日と同じでしたが写真集っぽいパンフレットを購入しました(500円)。
2部冒頭のハンガリーの作曲家の作品3曲までは前日と同じだったので、曲数が減っただけ?と思ったらここからプログラム構成が変わりました。なんと「Masterpiece」はカット!これはビックリ。そのかわりにバッハの「Badinerie」(以下の画像の曲)が演奏されました。

なんとなく一般ファン向けのプログラム構成なのかな?と思いますが、この日のハイライトは「花」だったと思います。これ信長貴富アレンジで、彼らが歌っているほかの楽曲(キングスシンガーズのアレンジものなど)と比べて和声の印象が全く違うものなんですが、彼らが歌って始めて正しいハーモニーが分かる演奏になってます(他の信長楽曲もメロディアスだけど再現できてない合唱団がほとんどですもんねー)。会場が奥に深い構造なためか、舞台からホール全体に鋭いと言ってもいいような美しい共鳴が鳴り響き続けて、この曲ばかりは誰もしゃべるアホはおらず圧巻。私は前から5〜6列目のセンターというかなり前の席で聴いていたにもかかわらず音響的には素晴らしいものでした。つまりあれだ、ハモってさえいれば座る場所とか関係ないんです。これは以前いずみホールでのカンテムス?の公演でも書いたけれど、デッドだとか言い訳すんのは下手な演奏者なんだと再認識。
演奏は順調に進んであっという間に終演。アンコールは「熊ん蜂の飛行」、ちょっと意外でしたがこの曲は蜂がメンバーの周りを飛びまわるという設定で歌っていて、最後はベースのガボール・ナジが弱った蜂を靴でバーンと踏みつけてニヤリと笑う、というオチなのでアンコールには向いているのかも。そういえば、今回は「君といつまでも」のショマの台詞「幸せだな〜」とか、「おてもやん」でのジョルト・ナジヴァーティ(復帰したコントラテノール)のバッテン荒川ばりのはじけぶりなど芸達者な一面も沢山見れましたね。
単独のアンコールのあとは前日と同じく花束贈呈があったんですが、花束を渡した松蔭の生徒の頬にショマがキスをした時に妙な盛り上がりがありました。単に挨拶のキスなんですがショマの迫り方(ガバっと肩を抱くような感じ)が面白かったです、生徒は本気で嫌がってたけど…。合同のアンコールは「ふるさと」これは上手な団体が歌ったので良かった。「Egyetem, Begyetem」もお馴染みの曲ですね。ということで、2日目も終了。
まあ、演奏中に賛助の某指揮者が座席でボソボソくっちゃべっていて不快だったり(声低いからウルセー)、観客のレベルが低かったですが演奏は良かった!ああ、もったいないなあ、もっと観客がいればいいのにー。

■演奏曲目 ※この日はメモ取ったのでたぶん合ってます
■第1部
Salvator mundi (Thomas Tallis)
O nata lux (Thomas Tallis)
Timor et tremor (Orlandus Lassus)
[Madrigal comedy]
Sing We and Chant it (Thomas Morley)
Feinslieb du hast mich g'fangen (Hans Leo Hassler)
Come again (John Dowland)
So trinken wir alle (Arnold von Bruch)
Come Sirrach Jack ho' (Thomas Weelkes)
Matona mia cara (Orlandus Lassus)
Cucu (Juan del Encina)
Fata la parte (Juan del Encina)
Come gentle swains (Michael Cavendish)
Of All The Birds (John Bartlet)

■第2部
[unknown song title] ※ハンガリーの作曲家の作品、タイトル不明
Esti dal (Zoltán Kodály)
Hintafán (Orbán György)
Badinerie [from Orchestral Suite No2 BWV1067] (Johann Sebastian Bach)
Summertime (George Gershwin)
Overture from Il barbiere di Siviglia (Gioachino Rossini)
Penny Lane
Yesterday
炭鉱節 (編曲:山本直純)
花 (編曲:信長貴富)
君といつまでも
おてもやん

■単独アンコール
Flight of the Bumble bee (Nikolai Andreyevich Rimsky-Korsakov)
■賛助団体とのアンコール(1曲目は賛助団体の指揮者、2曲目はショマが指揮)
ふるさと (編曲:若松正司)
Egyetem, Begyetem (Zoltán Kodály)