【2010年09月11日(土)】「水木しげる・妖怪図鑑」展@兵庫県立美術館

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ゲゲゲの鬼太郎」など妖怪漫画のヒット作で知られる水木しげる。今日私たちが思い浮かべる妖怪のイメージは、大部分を彼の作品に負っているといってよいでしょう。画業60周年と米寿を記念して開催される本展は、水木プロダクションの全面的な協力のもと、巨匠が長年に渡って描き続けた妖怪画にスポットを当てる展覧会です。
1000点以上に及ぶ原画の中から代表的な妖怪88種と鬼太郎を描いたものを精選し、驚異と幻想に満ちた水木ワールドの真髄をご覧いただきます。また、本展では、各種の百鬼夜行絵巻や妖怪の登場する浮世絵など、水木に影響を与えた過去の美術作品を展示することで、私たちのイマジネーションを無限に刺激し続ける妖怪という存在とわが国において連綿と受け継がれてきた妖怪画という文化について考察します。
さらに、併設の体験型模型展示「ゲゲゲの森の大冒険」では、水木原画を立体化した妖怪たちが登場。「さぁ、老いも若きも妖怪の世界へLet’s 冒険じゃ!!」

行ってきました神戸まで。
土曜日の昼過ぎだったので到着した時点で混雑が分かりました。ということで、とりあえず前回ざっと観た「コレクション展?」を観ることに。
2階の展示室は小磯良平、金山平三の作品が中心なのですが、奥の展示室で「Dolefullhouse」が展示されていました。こちらはガラガラでひとりぼっちで映像をゆっくり堪能。国立国際美術館での展示も良かったけれど、束芋らしい世界観が楽しめました。

ベネチアビエンナーレの企画展に招待作家として出品された作品。Doll Houseに見立てた作品のタイトル「Dolefullhouse」は、悲しみに沈みこんだ家という意味です。6分30秒の映像は、ドールハウスを組み立てていく途上に水が流れてきたり、たこが絡まってつぶしていくなどの展開で見る人を引き込んでいきます。


1階では、新収蔵品展と「ブラジル日系人画家の系譜」と題した展示、金氏徹平「Ghost in the Museum」が小企画として展示されています。何しろガラガラなのでゆったり鑑賞できるのが良いんですが、このコレクション展は展示品も素晴らしいのでお勧めします。企画展と別料金なので人が少ないのですが、企画展が3つ見れる友の会のB会員(2000円)がお勧め。ここは企画内容が良いので3つならば絶対に見たい展示があります。ま、最悪2回でもとはとれますし…。
さて、金氏徹平の展示は、今回一部作品は触ることができますし、撮影もフラッシュ無しならばOK。

1989(平成元)年度より開催している「美術の中のかたち−手で見る造形」展は、従来視覚のみに偏っていた美術鑑賞の機会を、視覚障害者の方にも提供し、あわせて作品に手で触れることで、健常者の方にも視覚以外の感覚器官を通じた美術鑑賞のあり方を探っていただこうという試みで、今年で21回目を迎えます。
今回は若手作家の中でも活躍著しい金氏徹平(1978年 京都生まれ)を迎え、「Ghost in the Museum」と題して、展覧会を開催します。
金氏は、さまざまな日常品を組み合わせる、いわゆるコラージュの方法で作品を制作してきました。金氏は、作品の素材に注目します。作品だけでなく、当館所蔵の彫刻や、作品に用いられるような素材も一緒に並べることで、それらの違いを来館者の方が視覚・触覚を通じて確認し、どのようにして作品が成り立つかを探る展示を構成されました。美術作品の成立する契機を考える野心的な試みです。



↑ゴムホースをもっているのは美術館所蔵の本物です。これらの彫像は実際に手で触れることができるのです。ヒンヤリしてた。

↑おなじみの「おくされ神」状態の作品

↑おくされの頭部

↑バットは手に持って記念撮影可能。携帯のカメラも特別許可とのこと。
いったいこれは何だ?という感じですが、今となっては高価な美術作品と、既製品、素材などを並列に置くことで、美術品としての価値とは何なのか?みたいなことを考えさせようとしてるみたいです。まあ、たしかにこうやって並べてしまうと、美術館の展示スペースでうやうやしく置かれたブロンズも、ホースでつなげりゃようワカランなあ、となるのかもしれないですが、「ふーん」というのか、分かったような分からんような、という印象。今回の展示とは違うけれど、展覧会の写真につかわれていた金氏徹平 《Splash and Flake (Pipeline)》は造形的な美しさを感じるんだけど、これは乱雑な図工室という感じだなあ。

コレクション展を堪能したので、2階のレストラン ラピエールミュゼに初めて行ってみた。
いかにも美術館内の価格という設定で、アミューズ+メインの1800円くらいのAコースとアミューズ+前菜+メインの2000円代のみ、カルトは無しで、ドリンクメニュー以外に単品で頼める食事もデザートも無いので、本当に食事かドリンクのみの客しか入れない。14時以降は1200円のパスタランチもあるので、それにしてみたけれど、まあ接客はちゃんとしたファミレス並かな?小さいサラダ、パン、パスタ(3種からチョイス)、ドリンクで、友の会10%オフで1080円だから馬鹿高くはない、が選択肢が少なすぎる。景色は海というか倉庫群VIEWはそこそこ眺めが良いです。パスタなら食べてもいいかなあ。あ、でもフォークが3本歯なのは食べにくいので4本歯のものに替えて欲しい。

さて、やっとメインの水木しげるの展示へ。
1階の展示室へのホールには一反もめんに乗っかって撮影できるコーナーがあり、列ができていました。子連れには大人気。
3階の展示室に入ると「だまし絵」展のときのような大混雑。妖怪図鑑は大きな作品ではないので壁際にずっと人が並んで牛歩なんですが、係員が「どこから見ても結構です〜!並ぶ必要はありません〜!」と絶叫していて興醒め。人の間から覗いて鑑賞する感じだったので疲れてしまいました。ここの展示室は、大きな展示室2つの間にガラス越しの展示がある小展示室があるんですが、前半の大展示室で妖怪図鑑、一つ目の小展示室が鬼太郎関連、二つ目の小展示室が江戸時代の妖怪画などの関連展示、後半の大展示室はデパートのイベントみたいな「ゲゲゲの森の大冒険」という子供向け展示でした。妖怪の実寸大オブジェやら、コミックなどの作品が読める卓袱台の置かれた部屋など、子供向けで、物販コーナーがいままでに無い大きさで展開されていました。
展示作品は良かったけれど、大人1300円で後半は子供だましと物販というのは「儲け主義」に走る人間の愚かさを展示したということでしょうか?ちょっと何だかなあ?と思いました。そうそう、江戸の妖怪図の展示室の最後に、伊藤若冲付喪神図》がありましたが、これ素晴らしかったです。福岡市博物館の所蔵品なのか…
会期も終盤ですので、これから混雑はさらに増すと思いますが、飽きた子供が「お家帰ろうよー」と叫び、妖怪画で本気泣きする子供の絶叫、いっしょに疑獄絵図も楽しめますので、来場される方はご注意を。夜間開館日なら子供少ないのかなあ?