益田ミリ『どうしても嫌いな人―すーちゃんの決心』

益田ミリの「すーちゃん」シリーズの最新です。この3作目は2年ぶりくらいの発売でしょうか。私はもう「すーちゃん」シリーズ書かないんじゃないかと勝手に思っていたのでちょっと意外。前作の「結婚しなくていいですか。―すーちゃんの明日」が話題になったのですが、いわゆるコミックエッセイジャンルとごちゃまぜにされていまったのか〔すーちゃん＝益田ミリ〕と勘違いした人が多いようで、その後の「ふつうな私のゆるゆる作家生活」あたりでも、作者自身が「男なし」「旅行は一人旅」というような決め付けに相当な違和感を覚えているように感じました。
すーちゃんを読んだ独身女性は、生き方を肯定する材料になったのかもしれないけれど、すーちゃんの年齢と同じく、毎年1作ずつ刊行するとの予定も変わったし、他のテーマの作品も多く発売されたので、ご本人がフェードアウトさせようとしているのかと思ったら、今回は都合の良い読者に釘を刺すような内容。だってタイトルが「どうしても嫌いな人」だもん（笑）。不器用で真面目なすーちゃんのことは誰かが見ていてくれて、自分たちも救われる、と期待していた人には肩透かしですよね。テーマ自体の好き嫌いはあるでしょうが、私はシリーズの流れとしてはまっとうだと思いました。
すーちゃんでも嫌いな人はいる、ってのは当然ですよね。ただ、この作品だけ読んでも意味が分からないので、できれば3作全部、無理なら2作目と併せて読むと良いと思います。