【2010年08月28日(土)】「横尾忠則全ポスター展」「束芋:断面の世代」@国立国際美術館

なかなか時間が合わず行けませんでしたが、行ってきました中之島
まず、B3で開催の「横尾忠則全ポスター展」ですが、全ポスターというだけに圧巻。凄かった!

横尾忠則は、1936年兵庫県西脇市に生まれました。幼少の頃から絵画の模写に興味を持ち、高校時代には、地元の商店街や商工会議所のポスターを制作するなど、早くから美術やデザインに対する才能を開花させます。
 1960年、日本デザインセンターに入社し、制作の拠点を東京に移すと、その活動の幅はさらに広がりをみせ、独特なイラストとデザイン感覚にあふれる、《腰巻お仙》をはじめとする劇団状況劇場のポスターなどで、たちまち若い世代の支持を集め、大衆文化を代表する寵児となりました。
 その後、グラフィック・デザイナーとしての仕事は、ポスターからイラストレーション、ブックデザインなど、さまざまな印刷メディアへと展開し、さらに版画や絵画、映画といった芸術分野にまで広がっていきました。
 それら全ての分野における個々の仕事が、その後半世紀を経た今日に至るまで、常に時代の先端的なイメージの創出と、独自の斬新な想像力に満ちあふれたものであったことは、その間の活動の足跡が示すとおりです。
 今回の展覧会は、このように広範囲にわたる横尾の仕事の中でも、その出発点であり、また、常に彼の創作活動の中心にあったポスターに焦点をあてるもので、横尾が初めてポスターを手がけた1950年代から、現在に至るまでの、約60年間に制作された全ポスター約800点を一堂に展示する画期的な個展です。
 当館では、この10年あまり、横尾の全ポスターを、一部購入を含め、同氏からの大量の寄贈により収蔵し、折に触れ、常設展示や他館の展覧会への貸し出し等により、部分的に紹介してきましたが、その全貌をご覧いただく機会を持つことはできませんでした。
 本展は、横尾忠則がこれまで制作した全ポスターに加え、下絵、版下等の資料も展示することで、同氏のデザイナーとしての活動の全体像を観覧いただく絶好の機会となることでしょう。

エロでグロくて雑多、ちょっとこの人大丈夫なんだろうか?と思いながらも惹きこまれます。作品はもちろん楽しめましたが、演劇公演のポスターの入場料が興味深かったですね。60年代後半のものを見ると演劇で500円、歌舞伎で1200円くらいだったのですが、今だと商業演劇は、安いもので3000円から8000円くらいでしょうか、ミュージカルはもっと高いけれど、歌舞伎は1等が15000円くらい?まあ、出演者や舞台装置の規模にもよるんでしょうけど、50年ほどで10倍前後のインフレかあ、と思って面白かったな。

B2の束芋展は、ちょうど「悪人」が映画化されたこともあって、タイミング的にはそっちのボリュームも多かったけれど、やはり映像インスタレーションが面白い。B2の展示会場は関連イベントの舞台公演用のセットが組まれていたのですが、一つ目の展示《団地層》はエスカレーターを降りてすぐのベンチが並ぶ部分に天井スクリーンの部屋を作って、ビーズクッションにもたれながら鑑賞する趣向。混雑していたので他を見てから戻りましたが、崩壊していく団地の映像を寝ながら眺めるのは楽しい。同じく《団断》も見飽きず。「悪人」の原画も全て並ぶと圧巻。悪人と連動した《油断髪》も楽しめた。唯一展示に不満が残ったのは《ちぎれちぎれ》。これ鏡面反射の映像なんですが、展示室が狭すぎて奥まで入れない。映像は2種類あって、メインは相当近づいて下のほうの映像を見ないといけないことがアナウンスされていないので、最初は立ちふさがる人の垣根の隙間に見えるサブ映像のみで、何なんだろう?と思いました。会場は前半部分に相当のスペースをさいていただけに、展示レイアウトに不満。最後の《BLOW》は、壁面の細密画のような植物が一瞬で変化する映像インスタレーションだったと思うけど、あれは最後の床にも映像を映したものとセットだったのかな?
これは時間をかけてゆっくり鑑賞したので十分楽しめました。