【2009年06月13日(土)】『白樺』誕生100年 白樺派の愛した美術@京都文化博物館

「イタリア美術とナポレオン」展のときに招待券を貰ったので、なんとなくだったのですが行ってきました。昼前に入場すると、それほど混雑もなく、どちらかというと閑散とした感じ。実は全く期待せずに行ったのですが、これが予想外に良かったです。
展示室は4階だけでなく3階も使用しており、入り口の4階は会場を入ってすぐに白樺がガラスケース内に陳列されていて、前半は海外からの作品中心。まず目を引いたのはオーブリー・ビアズリーオスカー・ワイルドサロメ」の挿絵、狂気に引き込まれるようで見入ってしまいました。これ、先日のサントリーミュージアム「インシデンタル・アフェアーズ うつろいゆく日常性の美学」で見た佐伯洋江の作品を思い出しました。あちらはアクリル絵の具で一部を彩色したりしてるけど、彼女はやはりこういうのに影響を受けたのでしょうか?目玉となっているロダンロートレックの他にも、ゴヤなんかもあったりして予想外に豊富な作品数。ま、油彩作品などよりもエッチングなどが多かったですが…。
4階の後半は、白樺派に関わったり、その時代の影響を受けた国内作家の展示。序盤の有島生馬と南薫造が良かった。有島生馬はサインがM.Aになってるから何で?と思ったら、後で分かったのですが、本名の壬生馬(みぶま)時代の作品でした。南薫造は、モデルや題材がまんま海外の作品だったのですが、英国留学時代の作品ということで納得。この2人の作品は良かったです。続いて岸田劉生の作品。壷の絵は額がとても大きくて、落下防止のためにワイヤーでも吊られていたのがちょっと面白かった。彼の肖像画はいいですねー。山脇信徳「雨の夕」もグーっと引き込まれる作品。それから藤島武二は美しい西洋画という印象。いやー、このコーナーは見る価値があります。
3階は、白樺派の人物や交流を辿る資料展示で、まず各自の写真と生年没年、プロフィールが書かれた展示があって、学習院時代の集合写真や手紙など、それから白樺派の影響を受けた後世の作家たちもあわせて振り返っていました。岸田劉生の装丁やら、とにかく資料数が多いのですが、音声ガイド無しでは分かり難い部分もありました。それぞれが描いた自画像の展示などもありましたが、貸し出しされなかった作品はボードにプリントされた複製だったり、第二次世界大戦で焼失した山本顧弥太所蔵のゴッホの「ひまわり」の複製プリントなど、この階はもともと美術工芸展示室なので、無理やり4階で収まらなかった展示品を並べた感がありました。白樺派の作家は若くして亡くなった人もいれば昭和の後半まで生きた人もおり、この展示スペースの鄙びた感じともども、残った人は大正の白樺派の時代をどう思いながら生きていたのだろうか、と寂しい気持ちになってしまいました。
全展示をゆっくりみると2時間くらいですが、4階で主要作品を見るなら1時間ちょっとでしょうか。グッズ類は3階の展示スペースにあり、図録が2100円、その他展示に関係ないものも含めて売店状態で売ってました。この図録は価値があると思いますよ。発色もなかなかです。
館内は美術品保護のためなのかエアコンがしっかりきいていて最後は寒く感じるほどでしたので、寒いのが苦手な方は羽織るものを持っていかれた方が良いと思います。それと、今回は音声ガイドがあった方が絶対に楽しめます。会期は7/20(月・祝)まで、お勧めです!